【ボカ】日置の源流の続編。未読のため太陽書房の概要から引用。
http://www.taiyo-g.com/shousai67n.html古今第一級、日置流弓術の奥義書。
岡山大学弓道部OBの在間氏(現 岡山県立記録資料館館長)が足守文庫で大風呂敷に包まれた大量の弓術文書群を発見した。昭和56年頃のことである。これが唯授一人を受け、日置流宗家を名 乗り得る足守藩弓術師範家吉田家のものである事がわかり、岡山大学弓道部50周年記念事業として これを『日置の源流』として出版した。
しかし、ここで取り上げたのは原史料83点のうち11点に過ぎなかった。残りの文書にも貴重なものがあり、残りの中から至玉のものを選び、取りまとめたの が本書『続 日置の源流』である。今回の続編の翻刻により、備中足守藩吉田家弓術文書の全貌が紹介出来ることとなったと思う。
本巻は解説と翻刻の2部からなり、7章の多彩な内容を含んでいる。まず、吉田家の弓術師範家としての痕跡を見るため、宛行状(あてがいじょう)と弟子の取立ての記録を収録した。
神事及び式法では「鳴弦」と「的場初而矢渡之次第」を取り上げている。小笠原の礼法がどの様に日置流に取り入れられたかを見ることができよう。矢羽根36種、火矢・からおしみについても掲載した。
弓論としては、問答形式の「射法粋弓之巻」を載せ、岡山藩・足守藩両吉田家の祖である吉田多兵衛の教示を窺わせるものとして、彼の弟子木下利古(藩主木下利当の弟)の書「利古射法論」、更には弓を鍛錬するもの達への戒めとして「射法道要」も収録した。
弓目録の釈義と教歌については「日置流弓條々」「吉田左近射儀百首」「家伝書」の3編を取り上げたが、中でも圧巻は「家伝書」である。本文が大変な長文で ある上、本文に対する細かい注が一面にビッシリと書き込まれている。恐らく他姓の者に出された60ケ條講釈本の底本であろうと思われる。まことに貴重な宗 家ならではの文書である。
最後に「日置流神道一巻」とその解説書「神道抄」を掲載した。神道の巻は唯授一人か免許皆伝の者にしか与えられていない。この為、今日まで公表されたこと のない文書である。「秘すれば華・・・」ということもあり、掲載にはとまどいもあったが、日置流宗家として足守吉田家の根本を示す文書として、掲載に踏み 切ったものである。
『日置の源流』『続 日置の源流』は、岡山大学という一大学の部活動のOB会が出版するという極めて珍しいものである。大勢の方々の支援の賜物であることは言うまでもない。