弓の並、伸びについて。 (投稿6件)[1〜6]


1:gedatsuさん
初めまして。
私は現在高校3年生で、高校から弓道を始めた者です。
高校も後1年で卒業となり、高校での弓道生活を終えようとしているにもかかわらず、この非常に初歩的のような質問を深くお詫びします。

私の矢束は96cmあります。しかしこの3年間、私は並寸のグラス弓を使用してきました(この弓は学校に保管されていたものです)
これはやはり危険なことなのでしょうか?

私の高校にはこのようなことに詳しい指導者が皆無となっており、ほとんどが自分達のみで練習しています(学校の顧問などは事務的な仕事しかせず、指導はありません)外部の顧問に指導を頼んでいるのですが、その方はこのような話は一度もしませんでした。
よってこのような状況が生まれてしまったのでしょうが…。

2:gedatsuさん
申し訳ありません。ここでの「矢束」は「引き尺」の意です(矢尺は100cmを超えます)

3:蒼月さん
はじめまして。
大学で弓道をしています。
そもそも並寸の弓は85cm、二寸伸の弓は90cm引いた際の状態で弓力を測定するのが一般的と思われます。
ですので、私たちの弓道部では矢束88cmまでは並、88cm以上は二寸伸を使うようにしています。

二伸寸の矢束の方が並弓を使って危険かとのことですが、まず弓についてです。竹弓でしたら破損の恐れが大いにあると思いますが、グラス弓ならば、そうそう壊れるということは無いかと思います。ただやはり弓にかかる負担が大きいので、長期間の使用でヒビが入ったり、合板が剥離して反動が強くなったりと弓の寿命が短くなるかもしれません。
次に射手にとってですが、弓が突然折れるということはグラス弓では考えにくいので、怪我をするということは無いでしょう。

弓の性能を引き出すという点からすると、適切な長さの弓を使用した方がよいと思います。
並で適切な引き尺を過ぎれば、矢勢は出ても矢所が不安定になりがちとなるでしょうし(弦を高くしているのとほぼ同じ)、並寸の矢尺の方が伸弓で引けば、引き足らずとなって本来の矢勢が出ないので、的中にも影響があるのではと思います。

弓具店の方に聞いてみると、きっと詳しく教えて下さると思いますので参考にされるとよいと存じます。

4:gedatsuさん
とても丁寧な返答ありがとうございます。毎日練習をする度に不安に感じていたのでとても助かりました。

しかしながら的中の面から言えばやはり影響は出てくるのですね。私の弓はおそらく「英修」という弓です。会のあたりになると引きが辛くなるので、弓と自分の引き尺が合っていないのではないのかと思っていたのですが、そのようなことは有り得ますか?(しかしこの弓の特徴でもあるようですね)

私は無知の状態で弓道を始め、最近までこのことを知らなかった事を恥ずかしく思います。これからもまだまだ勉強が必要のようです。

5:蒼月さん
こんにちは。
「英修」ですか。寺内弓具店さんの節が付いているグラス弓ですよね?残念ながら私は使ったことがないのですが、私の感じたこと、考えているところをお話します。間違っていることもあるかもしれませんし、趣旨とずれていましたら、申し訳ありません。

そもそも弓を引いた際の「引き尺」と「抵抗力」とは、比例では無いと思うのです。
具体的には、90cm引いた際に20kgの抵抗力がある弓を半分の45cmだけ引いた際の負荷は、90cm引いた際に10kgの抵抗力がある弓を90cm引いた時よりもずっと少ないように感じますし、(通常と同じ射形では比べられないとはいえ)矢飛びも劣るように思います。
良いバネ計があれば正確に測定出来るのでしょうが、感覚的には引分けの終盤〜会にかけて負荷が急速に増大していくように感じます。この負荷の増大の仕方については弓の特徴が現れる部分の一つでもあるようで、均一に近い負荷の掛かり方と感じる弓もあるなど様々ですが、大体は上記のようではないかと思います。英修の特徴であるとすれば、恐らく英修は上記の傾向が強いのでしょう。

さて、並弓の場合、88cm前後を過ぎる頃には会と想定されている引き尺を越えているので、かなり負荷が増大する域になるのではないかと思います。ですから引分け終盤〜会に入る辺りでは急速に抵抗力が増大し、gedatsuさんが感じていらっしゃるように会のあたりで引きが辛くなるのでしょう。

つまり、会に入る頃に負荷が大きくなるのは和弓の特徴ではあると思うのですが、gedatsuさんの場合は並弓で90cm以上の引き尺をとっているため、通常以上に急速な抵抗力の増大が生じて、引分け終盤〜会で引きが辛くなるのだと思われます。
推測ですがgedatsuさんの引き尺では表示されている弓力+1 〜2kg弱の負荷があるのではと思います(逆に言うと+1kg程度とされている伸弓ならば引ける筋力があるはずです)。

では、例えばですが並14kgという弓で96cm引いて15kgの抵抗力による矢飛びを出すのと、二寸伸15kgという弓で96cm引いて15kgの抵抗力による矢飛びを出すのでは、どちらが的中率が良いかということを考えますと、二寸伸15kgを使うほうが良いのではと思います。これは私が考えていることなのですが、離れた後、弦が返り矢をリリースして弓が元の形に戻るまでの時間が短い程、離れでのブレが矢飛びに影響しにくくなると思うのです。
並で96cm引いている場合、弓の形状の変化の度合いが伸での場合よりも大きいため、反動も大きくなり、弦の返るまでの時間、元の形状になるまでの時間がわずかですが長くなり、離れのブレが伝わり易くなると考えられます。
また、もっと単純な話になりますが、96cm程の矢束ならば伸弓を使ったほうが先に述べた負荷の掛かり方が穏やかになり(最終的な負荷が同じ場合でも、伸弓の方が軽く引ける、弓力が弱く感じるといわれるのはこの辺りにも理由がありそうです)、射形も安定して的中が伸ばせるかもしれません。


ずいぶん長文になってしまい、失礼致しました。
私もまだまだなんですよ。弓道は奥がとても深い競技ですから。射技にしても、道具にしても、色々考えて、聞いて、試していく中で、また新しいものが見えてくる、それが弓道の面白さの一つだと思います。
これからもお互い、弓道を楽しんで行きましょう。


若輩者の考えでございますので、違う点があったり、違うお考えの方がいらっしゃいましたら、ご指摘頂ければ幸いです。

6:gedatsuさん
遅れてしまってすいません。ここのところ私は40度を超える熱を出し、弓道その他から身を引いております(未だに完治していません)
私は蒼月さんの仰っていることを昔から考えておりました。しかし、今の学校のこんな状況では誰も同じ考えを持つ人など出て来ないも当然のようになってまして…。
しかし今、こうして同じ意見を持つ方がいらっしゃったことがとても嬉しいです。早い話、私が伸を使えばいい訳ですが、残念ながら学校に保管されている弓は並しかないのです…(私の学校は入部の際に弓は買いません)弓を購入しようともそんな予算もありません…貧乏なんです。
私の結論を言えばこのままこの弓を使うしかないわけですが、今回蒼月さんがとても親切にお答えして下さったことはとても感謝しています。本当にありがとうございました。
蒼月さんも突然の病にはお気をつけ下さいませ…。


ホーム > 弓道座談会 > 2009/06まで 弓具・設備編 > 弓の並、伸びについて。 (投稿6件)[1〜6]

(c)デビール田中 : 問い合わせ