堅物射 (投稿15件)[1〜15]
- 1:古流探訪さん (08-03-11 23:28, ID:L7HAMJw [12185])
- 堅物射を試してみようかと思います。
鏃はオークションで入手できそうなのですが,どんな形の鏃が良いとか,箆が良いとかの伝承を御存知ですか。
かつて吉田能安先生が兜を射抜いたときは70gという重い矢だったようですね。
- 2:加門さん (08-03-12 19:13, ID:Rgl9M4g [12203])
- 鏃は、笹の葉か柳葉が手に入りやすいです。一番抜けるのは銀杏形でした。
矢は重量50g〜60gが適当ですが、六分以下の弓では無理でしょう。弓は裏反りの少ない(棒弓)が奥が強く適します。
矢は破裂防止のため、全体に糸を段巻きにして漆をかけます。
六分二厘の弓で距離七間、フライパンなら矢の中ほどまで入り込みます。
射法と弦に伝承があるのですが、流儀の約定の関係から公表はお許しください。
堅物抜きをしてみたいという貴殿の気概に感激しました。結果のご報告を楽しみにしています。
- 3:古流探訪さん (08-03-13 00:14, ID:L7HAMJw [12205])
- 加門様
いろいろと制約のある中で貴重な情報を御教示いただきありがとうございます。
弦にまで伝承があるとは流派の伝承の奥深さには驚きます。
弓はお示しのとおりの裏反りの少ない6分3厘のものがありまして,使いこなせるよう修練しております。
たしかに鏃は柳葉型のものをよくみかけますね。銀杏形を目標に探してみようと思います。
箆も太ければ良いのかと単純に考えておりましたが加工が必要なんですね。矢師と相談してみます。
鏃を入手して矢を作ってもらってと準備をしていくと,実際に試せるのは2-3ヶ月後になりそうですが実行できましたら,またここで御報告したいと思います。
- 4:へたのよこずきさん (08-03-13 07:04, ID:ug8K7Rk [12207])
- ずいぶん前になりますが、研究熱心な方にさそわれて試みたことがあります。貸していただいた矢は、矢尻がピアノ線の鋼材を研磨したもので90gぐらい、シャフトはジュラの2015でした。自分の19kgの並寸の弓で5mぐらいの距離から2mmの厚さのステンレス板を貫通しました。古流とはほど遠いやりかたでしたが。なお、その方は、やじりは先端の尖ったものよりマイナスドライバーのような形(鑿根、というのでしょうか)がよく、刺さってからの摩擦を軽減するためにグリスを塗ると良い、とおっしゃっていました。私がやった時も、グリスを薄く塗ってありました。ご参考になれば・・・。
- 5:ぬふぬふさん (08-03-13 09:00, ID:a8G6p06 [12210])
- 何を射抜くかわかりませんが鏃なとを用意する前に一度巻藁矢や遠的矢で試してみてはいかがでしょう? 矢色が付かなければある程度の厚さの鉄板が射抜けます。
正直なところ個人道場ならともかく、公共道場や空き地等で鏃のついた矢で弓を射っていたら問題が起きるかもしれません。大げさかもしれませんが自宅の庭で模造刀で居合いの稽古をしていたら通報されたなんて話も近所で聞いたもので・・・
- 6:yotuさん (08-03-13 22:23, ID:4zTI07. [12217])
- 堅物射に使用する弓の強さの事ですが、分といわれますと弓の厚さが寸の下単位であることは何と無しにわかるのですが、尺貫法に馴染みが無く、どの程度の強さなのかわからないのでよろしければご教授願いたいです。
やはり「兜」を射抜くとなると40〜50kg級の強さが必要なのでしょうか?
- 7:加門さん (08-03-14 09:17, ID:Rgl9M4g [12227])
- 六分=22kg程度でしょうか。これは、ニベ弓の場合です。合成接着剤の場合、新弓では24〜25kg程度になります。
使い込んだ六分二厘(合成)で実測24kgですので、納まった六分三厘では25〜26kgぐらいでしょうか。
江戸の前期頃の伝書では、八分の弓の相応の弓力は1貫目(40kg)とありまが、現存する八分の弓は実測五十キロ程度あります。
弓の厚さによる弓力表示は正確でないため現在は行われてはいませんが、私は六分とか六分七厘とかいったほうが妙にしっくりくるのです。
- 8:加門さん (08-03-14 09:24, ID:Rgl9M4g [12228])
- 追加です。
ちなみに、吉田能安範士が鉄兜と射貫いたときの弓は、石津の六分七厘と記憶しています。弓力にして30kg強と思います。
- 9:古流探訪さん (08-03-14 21:04, ID:L7HAMJw [12233])
- へたのよこずき様
鑿根というのを初めて知りまして,調べたところ写真がありました。たしかにマイナスドライバーの形ですね。たしかによく貫くことができそうです。グリスの使用はその方の研究成果なんでしょうね。摩擦を少なくするというのは理にかなったものと思われます。
ぬふぬふ様
小さいながらも占有的に使用できる道場で師範代のようなことをさせていただいておりますので硬物射を試す場は問題ありません。心配していただきありがとうございます。
かつて仮設の巻藁で大三で矢を飛ばしてしまい矢止めの板を外し道場のシャッターの鋼板に穴をあけてしまったことがあります。ですから巻藁矢,遠的矢で金属板を射抜けることも理解できますし,それらを流用することについてはじめは良いアイデアだと思いました。しかし指導者として巻藁矢や遠的矢の板付の形状や目的を説明する立場としては,目的外のことにこれらの矢を使うのは示しがつかないと思い至り,硬物射が弓道の修練のひとつであることを示すためにも適した矢を用意しようと考えております。
yotu様
私の厚さ六分三厘の竹弓は合成接着剤で弓力は30kgあります。厚みに比べてやや強く、運良く良い弓に巡り会えたとよろこんでおります。加門様が説明されていますが弓の厚さによる表現は不正確なので目安程度に考えるのが良いかと思います。弓の厚さとして五分なら初心者や女性向け,六分でまあまあ,七分でおおすごい!というのが私の中での印象です。
下記は加門様の説明の繰り返しになりますが参考までに
射法.com より
弓の幅は約3cm程度の一定であるので、弓の強さは弓の厚さによって敏感に変化します。初心者の弓は5分(15mm位)の厚さで10kgの強度であり、6分の厚さで約20kg、江戸時代の達人の弓は7分、30kg程度ありました。
http://www.syaho.com/cgi-bin/sb/sb.cgi?eid=44
- 10:ポン酢ファンさん (08-03-14 21:27, ID:yTw23Y. [12234])
- あまり、分=何キロ相当と拘らないほうがよろしいかと。大まかな判断材料の一種と捉えないととんでもないことになります。
私、同一作者で6分2厘の並寸弓(手幅、自重ほぼ同じ)を3張り持っていますが、約23キロ、約27キロ、約29キロとバラバラです。
>弓の幅は約3cm程度の一定であるので、弓の強さは弓の厚さによって敏感に変化します。初心者の弓は5分(15mm位)の厚さで10kgの強度であり、6分の厚さで約20kg、江戸時代の達人の弓は7分、30kg程度ありました。
弓屋さんの幅決め定規は分厚に応じてずいぶんと違った記憶がございます。5分と7分が同じ手幅では、弓が強ければ耐え切れなくなりそう・・・まあ5分の手幅が広すぎるだけかもしれませんが
それはそうと、堅物射抜き成功するといいですね!場所と仲間と安全の確保が上手くいきますように。
- 11:yotuさん (08-03-14 21:59, ID:4zTI07. [12236])
- 皆さん弓の厚みと強さの事、勉強になりました。ありがとうございます。
古流探訪様の成功を願いながら、私もいづれは堅物射に挑戦したいと思います。
- 12:光点師さん (08-03-16 13:51, ID:60E2nUI [12259])
- 堅物射貫きで大事なこと 2−1
弓力の強さはそれほど重要では有りません。
大事なことは、飛行矢の、アーチャーズパラドックスに伴う反復しなり
クネクネ運動が止まってから、目的物の面に正確に垂直に中るようにする
ことです。
アーチャーズパラドックスに伴う反復しなりクネクネ運動が止まるのは、
射位から13〜15m程度先であることが実験でも確かめられており、
これは、堅物射貫きの射距離を7〜8間にせよ、貫けなかった場合、射手
は前進するのではなく後ろに下がり距離を長くしろ、という古文献の記述
とも一致しています。要するに矢速よりも、矢が真っ直ぐになった状態で
中てることを重視しているのです。
さらに古文献には、
鏃がきちきちで全く動かないようではダメ。箆の中で茎が若干遊び、鏃が
少し動くぐらいがよい。鏃塩首(しおくび:鏃先の底。茎の出るところ)と
箆の間に柔らかい皮をはめろ、ともあります。
これらはおそらく、中った瞬間に鏃先端が僅かに動き、矢の飛行エネルギー
を、目的物に対して確実に「垂直に」伝わらせるための一種の「タメ」を
つくるための工夫だと思います。皮はショックアブソーバーのような働きを
するのでしょう。
- 13:光点師さん (08-03-16 13:53, ID:60E2nUI [12260])
- 連続投稿で申し訳ありません。
堅物射貫きで大事なこと 2−2(つづき)
要するに「キンキンに堅い、遊び無しの鏃付きの矢」ではダメだという
ことだと思います。さらに鏃先端には砥糞(とくそ:刃物を研ぐときに出る
ドロドロの砥石の滓(粒子は非常に細かい))を着けろ、ともあります。
そして稽古はカワラケ(=陶磁器)でやれ、「割る」のではなく「貫ける」
(=孔を開ける)ような距離を見つけ出し射技を研鑽しなさい、とありま
す。
かつて阿波研造範士は、カワラケどころではなく「ランプのほや」を
「貫いた」といいます。あの薄いガラスで出来たランプのほやが、粉々に砕
け散ったのではなく円い孔を開けたのです。
この話からも、「射貫き」とは、いかに矢色の付かない、クネクネ運動が
早く停止する直線的な飛びの矢を出すかということが重要なのだ、といえる
でしょう。
終わり(長文失礼いたしました)
- 14:ぬふぬふさん (08-03-17 11:30, ID:a8G6p06 [12274])
- >>古流探訪さん
とても羨ましい環境ですね。 私も一度やったときがあるのですがほんと公共道場を借り切ってコソコソと先生二人でやりましたよ。 その時は17kgのグラス弓+巻藁矢で0.5mm程のトタン板は抜けましたが0.8mmは無理でした。
普段使っている矢の破壊力等を見せるためにも私は普通の矢でも引いてみせるのもいいかなと思います。 遊び半分でやるのは言語道断ですがなぜ今の型になったか見せるためにはいいかなと思います。
- 15:古流探訪さん (08-03-21 00:14, ID:L7HAMJw [12313])
- 光点師様
堅物射貫きの矢や技術に関する御教示ありがとうございます。
貫けなかった場合は下がるというのは目から鱗が落ちる思いでした。矢が真っ直ぐに対象物にあたることが重要なんですね。鏃と箆の固定がゆるいことも初めて知り,勉強になりました。この掲示板で質問してよかったです。
ぬふぬふ様
私自身の環境は非常に恵まれていると思っております。公共の道場を貸切でなされた御苦労がしのばれます。道場を借り切った理由でもあると思うのですが,堅物射を試すにあたって注意すべきは人身の安全と一般人,弓道人含めて遊んでいると誤解されないことなのでしょう。弓道人であっても近的,遠的の競技しか知らない人が見たらふざけた危険行為に見えるでしょうね。自分の道場でやる際にも周囲への告知はきちんとしておこうと思います。
途中経過の報告ですが古美術商をまわり鏃をいくつか購入してみました。数千円から数万円程度で売られており,一般に大きい物や銘の入ったものは高くなる傾向にあります。また使うという観点から見て鏃に良い物と粗悪品があることがわかってきました。箆についてはまだ手をつけていません。
1,銘のある鏃はやっぱり良い。
鏃の部位ごとの名称がわからないので刃先と茎(箆に入る部分,中子,なかご)に分けますが,不良品は刃先の軸と茎の軸が一直線になっておらず,くの字型に角度がついていたり段違いだったりします。そういった鏃を矢に仕上げても刃先だけ斜めを向いたものができあがります。対象物に中るとその衝撃は角度のついたあたりに集中するので破損する確率が高くるでしょう。また茎は箆の中に入って外からは見えない場所ですがその仕上げが雑でねじれたようにゆがんでいたり表面が平面ではなく凹凸が目立ったりします。反対に銘入りの鏃は茎から刃先までがきれいに一直線で茎の仕上げも丁寧です。
2,錆(さび)には要注意
金属製品なので錆はつきものですが奥深くまで金属を浸食していることがあります。表面の錆をおとしてきれいになったと思っていたら錆の浸食が茎の断面積の7割くらいまでおよんでいて,簡単にそこから折れてしまいました。表面から見ても金属の深い場所のことはわかりませんが,表面に赤錆がもりあがっているようなものは買わない方が良いでしょう。
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