竹弓製作の流れ その1


■1. 竹を準備

図1 [w:200,h:400]

  1. 3年程度育った真竹を切り出し、陰干しにて乾燥させ、油抜きを行い、天日干しします。(3年と言うのは目安で、節と節の間隔が弓に適した竹を切り出します。)【写真1-1】
  2. 竹を4分割します(通常、切り出しと同時に分割)。
    竹は向かい会う2面からしか枝が生えません。枝が生える面は繊維が真っ直ぐに通っておりその面は「芽通り」と呼ばれ、その面の竹(図のA、A'の部分)を「芽竹」と呼び外竹と内竹(前竹)に使用します。枝が生えない脇面の竹(図のB、B'の部分)は左右に折れ曲がっており、「脇竹」と呼ばれ、ヒゴの材料となります。(※【写真2-5】を見ると曲がっている様子がよく分かりますが、工程で最終的に真直ぐになります)
    ちなみに、通常1本の竹より外竹・内竹を使用する事はなく別々の竹を利用して弓を作る事になります。【写真1-2, 3, 4, 5】

【デビ】竹弓の外竹・内竹には真直ぐな「芽竹」が使われているので、皆さんご使用の竹弓の節を一度観察してみてはいかがでしょうか。竹は一節ごとに交互に枝を出しますから、「節目(芽の出るくぼみ)」が見つけられますよ。


■2. ヒゴの作成

図2 [w:200,h:200]

  1. 脇竹」(図のB、B')を半分に割った物を使用します。竹内側の節の部分を削り、次に竹の皮面、内側面を削り、平らにします。(手作業後、機械で仕上げ)【写真2-1, 2, 3, 4, 5, 6】
  2. 竹の内側面を火で焦がします。【写真2-7, 8, 9】
  3. 次に幅をそろえるために両脇をカットします。再度表面を削り、幅、厚みを一定にそろえます。【写真2-10, 11, 12】

■3. 側木の準備・作成

側木には櫨(ハゼ)を用います。物によっては「縄目」などの杢がみられます。側木を適切な厚みに切りそろえます。【写真3-1, 2, 3】

日曜ときどき矢師

柴田勘十郎さんの製作によるシコ杢の弓が紹介されています。
http://www009.upp.so-net.ne.jp/yashi/yashi_022.htm


■4. 弓芯の作成

図4 [w:200,h:200]

  1. 先に作ったヒゴと、側木を並べます。この説明の例では5本ヒゴの弓を作るので、側木2本の間に5本のヒゴを並べます。両脇に側木を置き、ヒゴを左から「表皮・内側」「表皮・内側」「表皮・内側」と3つ順に並べ、残りの2つを逆の「内側・表皮」「内側・表皮」と並べます。【写真4-1】
  2. 合成接着剤を用いて張り合わせ、麻紐で縛りクサビを打ち込み強く張り合わせます。同時に、片面が平らになるように上下・左右の歪みを直します。その後、接着が硬化するまで1昼夜おきます(接着剤の種類による)。【写真4-2, 3, 4】
  3. 凸凹になっているヒゴの側面部分を両面カットし、弓芯としての表・裏を平らに削ります。先端に行くほど薄く、握りに近いほど厚みがある様に削ります。

※ヒゴの組み合わせについては参加者の希望により様々な構成が作られたそうです。今回ご紹介の5本ヒゴは一例です。


■5. 外竹・内竹の作成

図5 [w:200,h:200]

  1. 芽竹」(図のA、A')を使用します。竹の節の部分を削り、内側面を削り、平らにします。(手作業) 【写真5-1, 2, 3, 4, 5, 6, 7】
  2. 竹の側面を削り、弓の幅をそろえます(機械)。 【写真5-8, 9】
  3. 竹の内側を弓の強さに応じた厚さに平らに削ります。(手作業) 【写真5-10, 11, 12】

■6. 関板の準備・作成

関板には黒檀・鉄刀木(タガヤサ)・黒柿・桃・桜など硬めの木材を用います。関板を適切な形に切りそろえます。上関板が大きく、下関板が小さめです。


■7. 弓打ち

図7 [w:350,h:420]

  1. 外竹と内竹の間に弓芯を挟み、合成接着剤を用いて張り合わせます。同時に関板を2つ貼り付けます。にべ弓と言えばこの部分が「にべ」と呼ばれる特殊な接着剤を用います。
  2. クサビを打ち込む際に、外竹・内竹を傷から守るための「あて竹(笹とも呼ばれる)」をそれぞれ用意します。内竹の切詰部分には接着面の端が浮き上がらないように「小杭(こぐい)」を挟みます。
  3. 麻紐で縛ります。末弭側から本弭側に向け数cm間隔で巻いていき、本弭部分で折り返し、弓中央で麻紐が交差する形で末弭まで巻き上げます。
  4. 竹のクサビを末弭側から打ち込んでいき、少しずつ弓の成りを整えていきます。最終的には120本程度打ち込み弓の成りに仕上げます。その後硬化するまで待ちます。

■8. 関板の荒削り

図8 [w:260,h:420]

  1. クサビを外し、麻紐を解きます。この弓を「藤放し(ふじはなし)」と言います。
  2. 弦がかけられる様に、関板を削ります。

■9. 弓張り

図9 [w:140,h:420]

  1. 「張台(はりだい)」を用いて弓成りの強弱を調整します。
  2. 弓に「しない弦(切れにくい直径1cmくらいの太い弦)」を張ります。

■10. 張り込み

調整をしながら張り込みます。


■11. 村取り

図11 [w:200,h:200]

刃物や鉋で側木側を削り、成形します。「荒村(あらむら)・新村(にいむら)」と言います。その後、数千本射込み、調整のために「小村(こむら)」「射手村(いてむら)」と続きます。


■12. 仕上げ

図12 [w:110,h:400]

籐を巻き、握り革を巻いて仕上げます。


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