取り矢は何のため? (投稿5件)[1〜5]


1:元弓引きさん
極めて初歩的な質問なのですが、取り矢にはどのような意味があり、何のためにするのでしょうか?
昔からの決まりだから、と言われればそれまでなのですが・・・。1枚の羽から甲矢・乙矢ができるから、いつもペアだというような意味なのでしょうか。それとも、戦場では矢は地べたに置かなかったなごりとか???
以前、この掲示板でもスレッドがありましたが、取り矢をする甲矢と乙矢では離れや的中が違うとか、すると気になって仕方がないといったご意見があったように思います。また、教本2巻の本多利実翁は、乙矢を袴に挟み、取り矢をなさっていません。
もし、ご存じの方がいらしたら、お教え下さい。

2:素人 ◆ulhccrlkさん
打根をもつ練習、と『紅葉重ね・離れの時機・弓具の見方扱い方』に載っていました。

打根とは今のナイフのような物で、現代弓道で取り矢して乙矢を持つところにこれを持ち、弓兵が接近戦に即座に対応出来るように備えた様です。

3:元弓引きさん
ご教授いただきまして、誠にありがとうございました。不勉強で、まったく知りませんでした。
やはり、戦場のなごりなのですね。弓は武士(もののふ)の道。面倒くさがらず、こころして取り矢をしたいと思います。

4:だめ学生(もう院生) ◆zPJ1SiMQさん
取り矢の由来を探ってみると、平安時代の『年中行事絵巻』(正確に言うと江戸時代の模写しか残ってませんが、原本に忠実だそうです)の射遺を描いた場面に、取り矢をした射手が描かれていたので、
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Kyujutsu04.jpg
平安時代からある風習なのでしょうが、何の意味があるのかはわかりません。
この射手たちは箙のような矢の容器を着用していないので、それと関係あるのでしょうか。打根をもつ練習との説も面白いですが、打根が現れる前からある風習ですので、儀礼的意味の方が大きい気がします。

本多流では取り矢をしません。利実自身の見解があるのかはわかりませんが、勝手小指を離れで積極的に使おうとすると邪魔になるからと聞いています。また取り矢は儀式の時にするものという意識があるのかもしれません。その証拠に、利実が水干を着用し、三ツガケ(諸ガケ?)で取り矢して射礼をしている写真が残っています。
また創立時から小笠原流である明治大学弓道部では創部以来百年間取り矢はしていないそうです。(数年前の全弓連主催の全国大学弓道選抜大会でもめたとか)

5:DEWさん
戦後直後の武道が禁止されていた時代の話ですが、取り矢=戦時の名残=弓道は軍事的訓練の一環ではないかと勘ぐったGHQの担当官に対して吉田能安先生が取り矢をすることで小指の働きを誘発するもので、戦とは関係がない武道であるということを強調して理解を得てそれが戦後弓道の復活に繋がった、とのことですね。

小指が締まると自然と親指が伸び、肘が利いて離れがするどくなるのだそうです。

ちなみに、能安先生も本多流(日置流竹林派の正面)の方です。


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