ひとの弓を運ぶとき (投稿6件)[5〜5]


1:こむぎさん
はじめまして。高校時代、ひとの弓を持つときは籐に触れてはいけないという教えがありました。籐は狙いをつける大切なものなので汚さないようにということです。

一方大学時代は「籐を持つように」と教えられました。湿気を嫌う弓を直接持たないように籐の巻いてあるところを持て、ということかなと考えています。


私個人としては高校時代の教えから、他人に自分の弓の籐を持たれるとあまりいい気持ちはしないのですが、皆さんはひとのゆみを運ぶときなどはどのようにされていますか?

5:光点師さん
小笠原流礼法伝書『大諸礼集』四巻「請取渡『万(よろず)請取り渡しの次第』」
(『東洋文庫』561 平凡社1993に所収))によると、

「弓出すべき事。はずし弓たるべし。右の方に身に引き添えてやすり籐を持ち、本はずを
五寸引きあげ、・・・・ゆみを進じ候と披露して、請取人出て候わば、そと立ち向かいて弓
を左へ取り直し、そりを下へなしてにぎりをすこしさげて、左の手をかけ、右にて本筈を抱
き候いて、両ひざ共につきて渡すべし。」

おそらく合理的に考えて、握りを持ったのでは上が重くなり、バランスが悪いので、通常
「持つ」場合には矢摺り籐を持つ。ただし、人に渡す時は、相手が矢摺り籐もしくは、握
りを持てるように、握りのやや下に持ち替えるのでしょう。

『大諸礼集』には、相手との身分の上下関係、物理的な距離によって、渡す際、握りの下
どれほどを持つべきか、ということも書かれています。よく考えれば、納得できる当たり
前のことです。

「○○先生がこうおっしゃったから」「講習会でこう習ったから」ではなく、興味のある
方は「礼」の本質を探究し、ご自身で原典にあたって、更なる研究をなさってみて下さい。


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